東京地方裁判所 昭和25年(ワ)2911号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事実と判斷)
支払地として「東京都中野区沼袋三一一番地池田方」と記載され、また支払場所として「株式会社第一銀行沼袋支店」と記載されている約束手形について、被告は、「支払場所が支払地外にあつて、支払場所としての効力を有しない無効の手形」であると抗爭したが、判決はこれをしりぞけて、右支払地の表示中「沼袋三一一番地池田方」とあるのは無意味な記載であると解すべく、従つて右約束手形の「支払地」と「支払場所」の間には被告の主張するような矛盾はないと判断している。
「手形の支払地は、手形の支払がなさるべき一定範囲の地域をいい最小独立行政区劃に相当する地域を以つて表示すると解されており、支払地内の特定の場所を意味することはない。従つて本件手形の支払地欄に「中野区沼袋三一一番地池田方」とある記載は支払地が中野区であることを示す範囲で支払地の記載としての意味をもち、「沼袋三一一池田方」はもし本件手形に他に支払場所の記載がなければ振出人の意思は或は支払場所を表示したものと判断することもできるであろうが、本件手形のように支払場所欄に中野区内にある「株式会社第一銀行沼袋支店」が表示されている場合にはこれが支払場所であつて「沼袋三一一池田方」の記載は無意味なものにすぎないというべきである。従つて本件手形は被告Aの主張するように支払場所が支払地外にあると見ることはできないから、原告は適法な支払場所に適法に呈示したものということができる。」